Hida Satoyama Cycling blog

拠点とする飛騨古川を中心に飛騨地方の話題を交えてその日その日を書き綴ります。

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やまなし

節分を過ぎ、寒さもほんの少しだけ緩み始めていますね。夕方5時には真っ暗だった飛騨でも、徐々に日も長くなってきています。晴れた日の昼下がりには、陽の光で、外はオフィスの中よりもかえって暖かかったりします。

現在、昨年度飛騨市全域について行なった古い民家の実態調査を、今年は高山市国府町にて行わせていただいています。何もこんなに寒い時期に外を回らなくてもとたまに言われますが、外へ出るたびに季節の僅かな変化を感じることができます。

さて、季節は遡り、昨年11月の末。私の地元神岡にもやまなしのなる木があるという話を聞き、その場所を訪ねました。

実は民家調査の中で伺ったあるお宅の玄関の上り框や床板に、ナシ材が使われていたのです。
「家の山の奥から梨の木を切ってきて、それを使ったんやな。昔のナシ。実のなる木はいい材になるで」
そういうお話でした。

飛騨の民家の土台の材はほとんどクリであるという話は聞いており、他にも初めて聞くような名前の木がいくつも教えていただいていましたが、ナシというのは初めてで、ナシなんて材になるの?? そんな大きな木になるの?? と、ずっと気になっていたのです。ナシといえば、あのおなじみのナシばかり想像していたので。

飛騨市神岡町寺林地区。
寺林地区


道路沿いにその木はありました。高さは15m以上あるでしょうか。よくみると小さな梨が鈴なり。
梨の木梨の木2

近寄って樹の根本を見ると、100個以上はやまなしが落ちていて、
あたり一面に、梨の素晴らしい芳香が漂っていました。
やまなし


大きさは3~4cmくらい。中には動物がかじったものも。大量のクマのフンもありました。
やまなし2


こんな木肌です。遠くから見るとひょろ長い幹でしたが、手と比べると結構太い。
梨の木の幹やまなしの木の幹2

途中まで、本当にまっすぐ伸びています。なるほどこれなら確かに家の材にもなりそう。
山梨の木の幹3

このナシの木のすぐ下に小さな沢があり、その中にも何個か実が落ちていました。
沢とやまなし

すぐに宮沢賢治の「やまなし」を想起しました。
カワセミの飛び込めるような川ではありませんが、宮沢賢治好きとしてはもう大興奮です。
ただ、この後ナシを何個か持ち帰り、方々巡っては、お仕事中のいろいろな人に見せてはまくし立てるように喋ったのですが、誰もピンと来ない感じでした。

……

人に何かを伝えるって難しいですよね、っていう話ではありません。
民家調査を通して、昔ながらの飛騨のくらしの一端を教えていただくことが出来ますが、まったく繋がると思っていなかった別の自分の興味と、不意につながることがあります。その喜び。

カキをはじめ、小さな実のなるクリ、キウィの原種であるサルナシ、アケビ、ヤマゴボウ、、こうした植生が、かつての里山にはたくさんあって、昔の人達はそれらを丁寧に管理しながら自然と共生していたのでしょう。

けれど今では、植えっぱなしで間伐が行き届かない杉林があちこちで目立ちます。杉林の下にはその他の植生がほぼありません。里山の生物多様性に大きく影を落としています。ご存知のとおり、これは終戦直後の林業の失政、日本の林業の衰退や、過疎の問題、さまざまな背後関係が絡み、解決困難な問題です。

ある大学教授のお話によると、日本の森林は人間さえいなければ、いつか勝手に蘇る世界でも稀有な自然環境なのだそうです。けだしそれは里山(人の住める世界)ではないし、今の地球環境の急激な変化を考えれば必ずしも担保されるものでもないそうです。だからこそ、常に人の手が入ることで管理される里山の保全が重要なのだと。

木の種類も、間伐の仕方も、その木の選び方も知らないわたしですが、この土地に住み続けるということは、結局昔のくらしを思うこと、学ぶことなのだろうと思います。そして、引き出しも能力もないまま何が出来るかと考える前に、とにかく動いてみることの重要性を今更ながら感じます。

明日は「飛騨民家のお手入れお助け隊」の第10回が開催されますが、わたしの関心は、古民家そのものから徐々に、それを取り巻く里山の環境にまで広がりつつあります。

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春の訪れと共に花粉にやられ、そのたび杉なんて滅びてしまえと思うmzb
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